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(1)、(2)のようになり、左舷側に多く凹損が発生し、右舷側にも一部に発生し得ることが説明される。
凹損は必ずしも衝撃水圧による応力が耐力を超えたものばかりとは限らず、ひずみ取りを行ったパネルが、繰返し荷重によって再び元のひずみが戻って局部変形となったものもあると考えられる。
「救難艇2」は、初めてのディープV大型艇であって、就役後は青森県太平洋側で飛行訓練の警戒・救難に当たり、機関の特性から荒天でも常時25ノット程度以上で航行していた。試運転時に行われた耐波試験では凹損は発生しなかったが、就役後、かなりの範囲に凹損が発生した。この艇の設計時には船型(船尾船底勾配)による水圧係数は考えられておらず、在来の船尾がフラットな船型と同様の設計が行われた。
表5.7は同艦の凹損パネルのRR11基準(案)による計算であって、板厚不足のパネルはごく少ない。むしろ凹損していない中央部付近の1l〜2l間、2l〜3l間に板厚不足のパネルがある。(図5.4参照)

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図5.4

耐波試験時に凹損しなかったのは、耐波試験は向波・追波の直線航走のみを行い、高遠でUターンしていないため、転舵による傾斜が少なかったことによると考えられる。その状態を示すものとして水圧修正係数を船尾のフラットな艇と同様にとって計算すると表5.8となり、どのパネルも板厚は不足しない。
本艇の機関は大馬力の中央軸(右廻り)と小馬力の両舷軸という配置で、大馬力のトグルの反力が作用している。これを左へ5°傾斜させるモーメントに相当するものと考えて計算すると表5.9となり、凹損パネルの大部分が板厚不足の計算となる。
なお、表5.4で板厚不足と判定されたものにつき、耐力を規格値でなく代表値をとり、安全率を1として計算すると表5.10となる。テープVの交通艇に関しては、荒天時には全力時に大角度変針しないものとして計算すると表5.11となる。このような計算で板厚不足となった艇で

 

 

 

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